ーーバケリンピック。
それは、競馬に関わる人なら誰もが憧れる、馬券術を競う祭典である。これは、その優勝者だけが得られる名声を手に入れるため、青春のすべてを捧げた少女たちの物語である。
~~成人式にて~~
あんこ
私たちはもう20歳。ずっとやりたいと思っていたことがあるんだ。
こずみ
へぇ、教えてよ。
あんこ
仲間を集めて、サークルを立ち上げる!
こずみ
・・・そんな情熱を注げるような趣味があったっけ。あんこは、授業が終わったあと、ずっとファミレスのアルバイトに夢中だったイメージ。
あんこ
私は目的のためなら頭も下げるし笑顔だって作るし何だって我慢するわ。でも、そんな日々も今日まで。ようやく私の夢が叶うのよ。
こずみ
・・・一体どんなサークルを考えているの?
あんこ
競馬よ!
こずみ
えっ それってギャンブル・・・
あんこ
スポーツよ!!
こずみ
・・・今まで隠してたのはそういうことか。
あんこ
「バケリンピック」に出場、そして華麗に優勝!歴史に名を刻むのよ!
こずみ
そう、頑張ってね。
あんこ
あ、もう大学にサークル登録申請を出しておいたから。もちろん、あなたも一緒よ。
こずみ
そんなぁ。幼馴染だからって遠慮なさすぎでしょ・・・
あんこ
私の勝負強さは知ってるでしょ? 私の直感、そしてあなたの頭脳が組み合わされば怖いものはないわ。
こずみ
はあ・・・呆れた。いつものことだけど・・・
あんこ
さあ、同志を探しに行くわよ!
ーーこうして、あんこの情熱は周りを巻き込み始め、一人、また一人と仲間が加わっていく。皆、バケリンピックの頂点を夢見て走り出す。
後に神域の馬券家集団と囁かれるその競馬予想サークルの名はーー『うましり』。